社会福祉や自然環境への配慮に加え、安全、健康、安らぎ、豊かさなど、文化的・芸術的な視点から建築と都市のデザインやマネジメントを推進する設計者と技術者を養成する。なお建築計画・意匠分野では、建築や都市の企画・設計・監理を行う能力を養うため、世界建築家連合(UIA)の建築家教育の方針に沿った一貫カリキュラムによる教育を行う。建築構造・材料分野では、建築の構造理論を理解し建物の構造や施工そして施設運用の設計・管理ができる能力を養う。環境工学・設備分野では、建築内部の熱・音・空気・光などの環境評価や建築設備の仕組みを踏まえ、地域環境を尊重した機能的な建物を計画・設計できる能力を養う。
上記の教育理念に基づき、広範な建築学を体系的に理解し、建築の企画から建物の解体やリサイクルまで各段階の基礎知識と技術を専門基礎科目で修得させる。その後、専門分野を建築計画・意匠分野、建築構造・材料分野、及び環境工学・設備分野に分かれた専門科目で、学生の才能や個性に応じた教育や就業支援を行う。
建築計画・意匠分野では、建築と都市を創造するために必要となる思考力の習得を目的とし、建築の設計・計画・インテリア・都市計画・建築史などの知識と技術を修得させる。建築構造・材料分野では、理論的方法論に基づいた思考力の習得を目的とし、鉄筋コンクリート構造・鋼構造・木質構造などの各種構造や材料・建築生産・施工・維持保全などの解析と技術を修得させる。環境工学・設備分野では、地球環境問題を配慮した省エネルギーで快適な住空間を構築する思考力の習得を目的とし、建築環境・建築設備などの解析と技術を修得させる。
本学科を卒業することにより、2級建築士の受験資格を得るとともに、1級建築士の受験に必要な指定単位をすべて確保することができる。
建築学科では、下記の能力や知識を身につけることを目標とする。
1.自主性、行動力
a 自ら問題を発見し、自ら調べ、自ら考えて問題解決する能力を持つ。
2.柔軟な応用力
b 先端技術に関心を持ち、柔軟に対応できる応用力を持つ。
3.表現力・技術
c 記述能力、描画能力、ものを作る能力を通して、自分の考えを表現する。
4.基礎的学力
d 人間のスケールを実感として理解する 。
e 素材の特性を理解し、適正に活用する。
f 機能と形態を結びつけて考える。
g 建築家が備えるべき安全性や快適性に関する基本的な知識を持つ。
5.創造力
h 生活の豊かさや人間の健康を意識した空間を創造する。
6.社会性
i 建築の地域社会との関わりや、建築と環境の関係について考える。
7.倫理観
j 建築家が備えるべき社会的責任を理解する。
前記の教育目的と教育目標を達成するために、以下のカリキュラムを開設し、年次に従って実施する。
1) 現在の建築学は学問の領域が非常に広範なので、これらを系統的に教育するために専門教育科目を専門基礎科目と専門科目に区分し、少人数制の教育を行う。
2) 1、2年次においては、教養科目で構成されている共通教育科目の履修とともに、建築学の基礎知識を学ぶ専門基礎科目の履修が可能なカリキュラムを構成している。また語学については、自ら修学目的を達成できるように、各個人に適した履修指導を行う。
3) 3、4年次においては、学生が自主的に履修計画を立て、希望する専門科目を選択して学ぶことが可能なカリキュラムを構成している。なお3年次の前期には、卒業論文に取り組む研究室を本人の希望と適性に応じて選択できるように、各研究室の卒業研究ゼミを自由に聴講できるオープンオフィスを設定している。また3年次の後期からは各研究室に仮配属し、専任教員・研究室の先輩学生との交流の中で問題発見・解決能力の養成、研究遂行に必要となる専門知識や調査・解析ツールの習得、自分が目指す職業・研究の方向性などを学ぶ機会を設定している。
4) 3年次終了までに卒業研究に必要な専門科目の履修をほぼ修了し、4年次では卒業研究に専念できるように指導する。
5) 講義においては、液晶プロジェクター・ビデオ・動画などを用いて、理解しやすい授業を行うように務めている。そのためAV装置の備わった講義室をできるだけ使用するとともに、AV装置の備わっていない講義室では必要に応じてAV装置を準備する。
6) 専門基礎科目や専門科目では、講義とともに少人数制の実験や演習を随所に取り入れた指導を行う。実習・演習科目として、建築設計ワークショップ、建築デザイン実習などがある。また実験科目には、計画・環境実験と建築構造実験がある。
7) 設計製図室の他に建築デザインスタジオには、学生個々の設計スペースを確保し、自由な創作活動が行えるように準備している。
8) 都市デザインの関連科目、プロダクトデザインの関連科目、デザイン情報処理の関連科目、測量、建築マネジメント・建築技術メディア特論などの科目については、主に夜間に開講する総合デザイン工学科で受講することも可能である。
9) 卒業研究は、専任教員の研究室に所属し研究活動を能動的に行う大学教育の総まとめとして、卒業論文・論文梗概の提出や卒業論文発表会を通して、技術論文のまとめ方、プレゼンテーション方法、討議の仕方などについて指導する。優秀論文については表彰する。
10) 希望者は、 卒業論文の他に卒業設計も行い、4年間で学んだ設計・計画手法を駆使した建築設計を、図面や模型にまとめて提出している。卒業設計の作品は、学外の建築設計者を含めた指導や評価を行うとともに、優秀作品については表彰する。