細胞内は膨大な生体分子が高濃度に共存しており、満員のプールのような混雑状態になっています。そのような複雑かつ混雑な環境で蛋白質などの生体分子がいかに運動し、機能を発現しているかは生命科学の大きな謎です。当研究室では、細胞内の生命現象を、生体分子の立体構造や相互作用およびダイナミクスから微視的に解明します。研究手法は主に計算機(高性能コンピュータ)による分子シミュレーションを用い、必要に応じて情報科学的手法も活用します。また、複雑な分子の世界を直観的に理解するために、VRを用いた生体分子の可視化ツールの開発も進めています。これらの研究を通じてソフトウェア開発や創薬方面への応用を目指します。
細胞質の大規模分子シミュレーションによって、細胞環境下の生体高分子の動きや蛋白質間相互作用の特徴が分子レベルで解明できた。近年は蛋白質凝集や液-液相分離現象に着目し微視的な調査を進めている。特に代表的な代謝物であるATP(アデノシン三リン酸)と蛋白質との相互作用を分子動力学シミュレーションによって調査し、ATPが蛋白質凝集を抑制する効果について分子レベルの知見が得られた。また、これらの研究を通じて細胞スケールの分子シミュレーションデータ(数十テラバイトクラスのビッグデータ)を膨大なCPUコアを用いて超並列的に解析するプログラムを開発した。 一方、分子動力学シミュレーションなどで得られる生体分子立体構造や機能を、より直観的に体感できるシステムの構築を目標に、VR(Virtual Reality)デバイスを用いた可視化ソフトウェアの開発も推進している。
①生体分子反応について、分子レベルの微視的な知見の提供
②実験と理論(シミュレーション)の連携
③VRによるデータの可視化に関する連携