前橋工科大学工学部建築学科

Department of Architecture, Faculty of Engineering

Maebashi Institute of Technology


教育内容


教育理念
 現代社会は、「より快適」で「より安全」な生活環境を営むために、建築技術の粋を集めて構築されています。しかし残念なことに、現代社会の発展を支えてきた建築技術が、自然を破壊し生物の命を奪う場面を目にすることもあります。建築学ではこれらの問題との調和を図りながら高度な技術を追求することが求められています。
 また前橋工科大学のある群馬県央地域は、東京から100km程度と首都圏にあることから近年急速な都市化が進行し、住環境・農業集落のスプロール化や中心市街地の空洞化といった建築に係わる社会問題が顕著化しています。さらに地元の産業は規模・技術力などの面で他地域に比べて遅れをとりつつある状況のなか、豊かな都市空間を創造し、自然環境と人間社会とが共存した技術開発を行う専門技術者の育成が急がれています。
 こうした背景のもと本建築学科では、人間や自然環境への配慮に加え、文化的・芸術的な視点から建築や都市のデザインやマネジメントを実施できる設計者・技術者を養成しています。そのために1〜2年次には建築の企画から建物の解体やリサイクルまで建築学に関連した基礎的かつ広範な知識と技術を教育し、3年次からは専門分野を設計・計画系、構造・生産系、環境・設備系の3系に分けることで学生の才能・個性に応じた教育を行っています。
 なお設計・計画系では建築や都市の企画・設計・監理を行う能力を育成するため、世界建築家連合(UIA)の建築家教育の方針に沿った一貫カリキュラムによる教育を行います。構造・生産系では建築の構造理論を理解し建物の構造や施工そして施設運用の設計・管理ができる能力を育成します。環境・設備系では建築内部の熱・音・空気・光などの環境評価や建築設備の仕組みを踏まえ、地域環境を尊重した機能的な建物を計画・設計できる能力を育成します。


教育目的
 本建築学科では、広範な建築学を体系的に理解し、建築の企画から建物の解体やリサイクルまで各段階の基礎知識と技術を専門基礎科目で修得させます。その後、専門分野を設計・計画系と構造・生産系に分かれた専門科目で、学生の才能や個性に応じた教育や就業支援を行います。
 設計・計画系では、建築と都市を創造するために必要となる思考力の習得を目的とし、建築の設計・計画・インテリア・都市計画・建築史などの知識と技術を修得させます。
 構造・生産系では、理論的方法論に基づいた思考力の習得を目的とし、鉄筋コンクリート構造・鋼構造・木質構造などの各種構造や材料・建築生産・施工・維持保全などの解析と技術を修得させます。
 環境・設備系では、地球環境問題を配慮した省エネルギーで快適な住空間を構築する思考力の習得を目的とし、建築環境・建築設備などの解析と技術を修得させます。
なお本学科を卒業することにより、2級建築士の受験資格を得るとともに、1級建築士の受験に必要な指定単位を確保することができます。


教育目標
建築学科では、下記の能力を身につけることを目標としています。

a. 自ら問題を発見し、自ら調べ、自ら考えて問題解決する能力を持つ 自主性、行動力
b. 先端技術に関心を持ち、柔軟に対応できる応用力を持つ 柔軟な応用力
c. 記述能力、描画能力、ものを作る能力を通して、自分の考えを表現する 表現力・技術
d. 人間のスケールを実感として理解する 基礎的学力
e. 素材の特性を理解し、適正に活用する 基礎的学力
f. 機能と形態を結びつけて考える 基礎的学力
g. 建築家が備えるべき安全性や快適性に関する基本的な知識を持つ 基礎的学力
h. 生活の豊かさや人間の健康を意識した空間を創造する 創造力
i. 建築の地域社会との関わりや、建築と環境の関係について考える 社会性
j. 建築家が備えるべき社会的責任を理解する 倫理観


教育方法
  1. 現在の建築学は学問の領域が非常に広範ですので、これらを系統的に教育するために専門教育科目を専門基礎科目と専門科目に区分し、少人数制の教育を行います。
  2. 教育課程の1、2年次においては、教養科目で構成されている共通教育科目の履修とともに、建築学の基礎知識を学ぶ専門基礎科目の履修が可能なカリキュラムを構成します。また語学については、自ら修学目的を達成できるように各個人に適した履修指導を行います。
  3. 教育課程の3、4年次においては、学生が自主的に履修計画を立て、希望する専門科目を選択して学ぶことが可能なカリキュラムを構成します。なお3年次の前期には、卒業論文に取り組む研究室を本人の希望と適性に応じて選択できるように、各研究室の卒業研究ゼミを自由に聴講できるオープンオフィスを設定します。また3年次の後期からは各研究室に仮配属し、専任教官・研究室の先輩学生との交流の中で問題発見・解決能力の養成、研究遂行に必要となる専門知識や調査・解析ツールの習得、自分が目指す職業・研究の方向性などを学びぶ機会を設定します。
  4. 3年次終了までに卒業研究に必要な専門科目の履修をほぼ修了し、4年次では卒業研究に専念できるように指導します。
  5. 講義においては、液晶プロジェクター・オーバーヘッドプロジェクター・ビデオ・動画などを用いて、理解しやすい授業を行うように務めます。そのためAV装置の備わった講義室をできるだけ使用するとともに、AV装置の備わっていない講義室では必要に応じてAV装置を準備します。
  6. 専門基礎科目や専門科目では、講義とともに少人数制の実験や演習を随所に取り入れた指導を行います。実習・演習科目として建築設計ワークショップ・建築デザイン実習などがあります。なお建築設計の情報化に伴い、コンピュータを利用するCADなどを用いた実践的で具体的な実習を行います。また実験科目には、計画・環境実験と建築構造実験があります。
  7. 設計製図室の他に建築デザインスタジオには学生個々の設計スペースを確保し、自由な創作活動が行えるように準備します。
  8. 都市デザインの関連科目、プロダクトデザインの関連科目、デザイン情報処理の関連科目、測量・建築マネジメント・建築技術メディア特論などの科目については、主に夜間に開講する総合デザイン工学科で受講することも可能です。
  9. 卒業研究は、専任教官の研究室に所属し研究活動を能動的に行う大学教育の総まとめとして、卒業論文・論文梗概の提出や卒業論文発表会を通して技術論文のまとめ方、プレゼンテーション方法、討議の仕方などについて指導します。
  10. 設計・計画系では、卒業論文の他に卒業設計も行い、4年間で学んだ設計・計画手法を駆使した建築設計を図面や模型にまとめて提出します。卒業設計の作品は学外の建築設計者を含めた指導や評価を行うとともに、優秀作品については表彰します。